しわ・たるみ、なんとかなりませんか?

ある日、三十九歳の初診の患者さんが、私の前に、深刻な面持ちでおすわりになりました。どんなたいへんなことが起こったのかと思いましたが、彼女のお肌には、とくになにもできてはいません。「先生、最近、お肌に急にハリがなくなっちゃって……」「そうですがねえ…。失礼ですけど、お年よりはずいぶんお若いですよ」「ええー、でも………もう、大変なんです………(手鏡をのぞきこんで)ああ!恐ろしい……!」「………………」「お化粧品にも気をつかって、エステにもがよっていたのに、どうして急にこんなになっちゃ
ったのかしら。フェイスラインはぼやけるし、口角もさがってきたみたい」「いくらお肌の手入れをしても、体のなかでは、年とともに自然にホルモンバランスが変化していますからねえ」「それはそうでづけれど……肌がホルモンと関係あるんでづか?」
「卵巣から出るホルモンが、お肌のハリとつやを守るのに不可欠なのでが、それが三十代な
かば頃から減ってくるのですよ」「えっ、じゃあ、ホルモン剤のまないとだめですか?」「残念ながら、肌のためにホルモンをのむということは、副作用の問題があるのでできません」「じゃあ、どうすればいいんですか?」「ホルモンバランスをこわさないように、なるべく気をつけることです」「私、ダイエットして、生理が止まったことあります。以後ずっと不順なんですが、子供ももういらないから、いいかなと思って…そういうことも影響しているんでしょうか?」「そういうのが一番よくないんですよ。今は、早発閉経といって、早く閉経してしまう人がは
えています。早く閉経するとお肌の衰えも早くなります」「えーつ、こわい!化粧品とかより、そっち治さないとダメですね………」
このような方の場合は、漢方治療で、生理不順を治すことが先決です。生理不順の漢方にも
いろいろありますが、脈血改善の処方を使うことが多いです。|三七~
一九ページの療血の漢方処方の項を参照して、ご自分に合うものを探してみてください。生理不順がなくても、生理のときの出血量が急に少なくなったり、持続日数が短くなったり、というときには、まず基本に立ち返りましょう。

水をとりすぎていませんか?あなたの体

水の飲みすぎは「水毒」にご用心人間の体の三分の二は水。人間の細胞はすべて水に浸って生きていますし、体のなかの物質はすべて水を介して生命活動を営んでいます。

人間にとって水は大事な存在。胃液、尿、リンパ液など血液以外のすべての水分を、東洋医学では「水」という概念でとらえています。

体にとって大切な水ですが、水そのものが不足する水虚のような状況は実際にはほとんどおこりません。一時的に(たとえば真夏のスポーツのあとなど)軽い脱水症状になることはありますが、ずっとそのままの状態がつづくことは、まずないからです。水の異常はむしろ水が多すぎておこる場合が多いのです。水が体内で過剰になりすぎた状態を「水毒」といっています。

女性にはもともと水分代謝のわるい方が多いので、自分の体の許容量をこえて水分をとってしまい、水毒になりがちな傾向があります。

Dさんはデザイナーです。。大学入学前からアパレル会社に就職を希望していましたがうまくゆかず、現在フリーターをしています。デザイナー志望だけにおしゃれへのこだわりが強く、モデルのような体型を維持し、いつも最先端のファッションに身を包んで診察に訪れていました。

彼女の悩みは顔全体の湿疹。赤くなってジュクジュクと浸出液がしみ出ている状態でした。D子さんのように湿疹がジュクジュクするタイプの人、水泡ができるタイプの人は「水毒」傾向である場合が多いのです。

私はD子さんのバッグからフランス産のミネラルウォーターのペットボトルが顔を出しているのが気になり、「一日にお水をどのぐらい飲みますが?」と聞いてみました。「ペットボトルをいつも持ち歩いていて、なくなるとコンビニで買います。一日にこれ(五○○ミリリットル三本以上は飲むかな。でも水には砂糖も入ってないし、太らないからいいんですよね」「今は冬ですけど、あなたはそんなにノドが渇くの?」「いえ。ぜんぜん。水を飲むのは体にいいと聞いたので、渇いてなくても飲んでいます。

生理痛からシミ・ニキビまで、血のトラブルは女性の敵

女性によくある「血」のみだれ「血」は体の各所をまわって酸素や栄養を与えるもの。現代医学でいう「血液」とは少し異なりますが、非常に似た概念と考えていいでしょう。気と同様、十分に必要な量が生産され、スムーズに体内をめぐるのが理想。血のトラブルとしては流れが滞る「脈血」、血そのものが不足する「血虚」があります。

日本全国には道路や線路などが網の目のように作られ、人や貨物や情報はその交通網を使って流れています。血もこれと同じように、日本中つまり体中を流れていると想像してください。渋滞の名所があるように血にも滞りやすい場所があり、それが「脈血」というわけです。渋滞しているところでは排ガスがたまったり騒音が生じるように、脈血の箇所にはさまざまなトラブルが発生します。「血虚」はいってみれば人や貨物が足りない輸送力不足の状態。からだのすみずみまで血がいきわたらない状態といっていいでしょう。

那山はAの大の日本人女性には「血」の人がたいへん多いのです。女性は生理があるので、もともと男性よりも血のトラブルをおこしやすい悪条件のもとにあります。脈血は湿疹やニキビ、吹き出物、シミ、クマ、静脈瘤など、ありとあらゆる肌トラブルをおこす女性の最大の敵。血は肌に栄養を与えているので、肌に一番影響が出てしまうのです。

若い女性が脈血になる主な原因は喫煙やストレス、無理なダイエットなどいろいろですが、目立つのは「冷え」によるものです。

女性はもともと男性よりも冷えやすいのですが、「生足」「ヒップハング」「ノースリーブ」などのファッションが、さらに冷えを増悪させる環境を作っているのです。診察に来る若い女性に腹診をしようとすると、わざわざボタンをはずすこともないほど腰のほうまでおなかがあらわになったヒップハングのジーンズをはいていることのなんと多いことでしょう。ウェストラインの低いパンツやスカートが流行しているようですが、これもじつは美容には悪いのです。「冷えは万病のもと」というのは本当の話。それにもかかわらず、冷えを軽視している女性が多すぎます。婦人科のツボを冷やしてしまうと全身の血の流れが滞ってしまうのを、ぜひおぼえておいてください。冷えとは別に最近の女性に多いのは、きつい下着で締めつけることで骨盤内の血流を悪くします。